* * *
夜、風でテントがバタつく叩く音で目が覚めた。
あまりの騒音に寝てやり過ごすことを諦め、外に出る。
ガイラインを全てきつく締めなおす。
バサバサバサバサ！
テントと地面の隙間を石を積んで埋める。
バサバサバサバサ！
少しでも風の影響を受けなそうな形にテントを張りなおす。
バサバサバサバサ！
ダメだ。八方塞りだ…。
しばし写真を撮るなど現実逃避した。
そうこうしている間にも風はどんどん強くなる。
風でたわむポールを支えながら、このまま夜を明かすのかと気が重くなっ ｚｚｚzz...
いつの間にか寝ていた…。
夜中に何度か目が覚めたが、それなりには眠れたようだ。
外から「テントが崩壊してるのに寝てる、たくましい…」という声が聞こえた。
一体誰の話をしているのだろうと思ったら、自分だった。
ポールは倒れ、顔に屋根がかぶさっていた。
テントの形をしていなくても眠れるもんだ。
「今日は下山するだけだし、もうひと眠り…」の気分だったが
崩壊したまま眠るのもどうかと思い、起きて朝食をとった。
朝日を眺めながら撤収準備を済ませる。
今日は槍沢をひたすら下るのみだ。
次に槍に来るときも尾根伝いで来ようと思った。表銀座がいいかな。
この下りで足首にかなり疲労が溜まった。
今日は3連休の初日、人が多い。
ひっきりなしに人とすれ違い、挨拶を交わすだけでも大変だった。
ここまでくれば後は平坦な道だ、安堵する。
横尾には本当にたくさんの登山者がいた。
涸沢に行きたい気がしないでも無かったが、思い直し徳沢に向かう。
この日の昼食は徳沢園のカレーと決めていた。
ここは雨の日に泊まったことが無いので、晴れた日にのんびり過ごしてみたい。
ここまで戻ってくると観光客が増えるので、汗で塩がついたTシャツが気になってくる。
早く湯につかって着替えたい。先を急いだ。
風呂はいつも小梨平野営場に併設されたところに入っている。
上高地にはもっと素晴らしい風呂がたくさんあるのだろうけど、
いつも人が少なく、登山後でもあまり気にせず入れるところが気に入っている。
人が多い。
午後なのに全くガスがかかっていなかった。
日常に戻るためにやることがあるが、まだまだ山に居たい。
予定は何とかならないでも無かったが、その後がキツくなることは見えていた。
新島々に着けば「乗鞍…」
松本に着いたら「燕…」
茅野で「八ヶ岳…」
甲府で「南アルプス…」
あずさが甲府を過ぎるまで葛藤は続いた。
次に新宿で目が覚めたとき、日常に戻ってきたことを実感した。
* * *
今回の旅で学んだことは、Day 4でも書いたが「歩けば、着く」ということ。
あれだけ遠く見えた山に辿りついたときの喜び。
これまで歩いてきた道程を振り返ったときの驚き。
山歩きの魅力を再確認した旅だった。
もちろん雄大な景色も言葉にならないくらい素晴らしかったのだけれども。
今まで2泊以上の山旅や、長時間歩くコースには及び腰だった。
これからもっと積極的にチャレンジする自信がついた。
今までよりもっと、山が楽しめそうな気がする。
* * *
振り返りメモ
/* 携帯(xperia arc SO-01C)の電池 */
モバイルチャージャー(フル充電2回分)と予備のバッテリーを持参。
・使用時間はDay 1から順に、30 min, 5 min, 20 min, 60 min, 60 min。
・用途はメールチェックとSNSへ写真アップ。Day 4,5 はネットサーフィンも。
だいたい上記の使い方で、1回フル充電したのみだった。
/* カメラ(canon EOS60D)の電池 */
残量を全く意識せずに使用し、33%残だった。予備のバッテリーは使用せず。
/* 食事 */
・昼はすべて山小屋。夜はアルファ毎+具+カップスープで量は過不足なしだった。
・朝は起き抜けにコーヒー、行動開始30分後くらいに無印のバウム。
・行動食は1～4日目にクリーム玄米ブランを1包装ずつ(売っているものの1/2)。
・ガス缶は250で半分以上余ったが、110で足りるかは不明。
・ホットポカリの有用性。
/* その他 */
・15時以降に洗濯するとその日に服は乾かない(ウールT、化繊ショーツのウエスト部)。
・日傘は効果があるのだが、トレッキングポールとの選択でほとんど使わなかった。
・手軽に出せる座布団サイズのマットはやはり持っていた方が良い。
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